ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
樹の記憶
2010/08/25
Wed. 02:32
小さいころ、両親に連れられ、
毎年のように、上野の博物館や美術館などを訪れていた。
そんな日は、こどものくせに、
歩き過ぎによる筋肉痛で夜も眠れなかったことを思い出す。
おもしろい体験をした。
INAXギャラリーで「植物化石-5億年の記憶- 展」を観た。
室の中央に、大きなブッシュ・ド・ノエルといった風情の、
樹の幹の化石があった。
ごつごつした樹皮の感じはそのまま残っていて、
ガラスのようにきれいに石化した内部が断面から見えた。
そのごつごつした樹皮を手のひらで触れ、
硬い断面部をこぶしでこつこつと叩いた時、
全身が総毛立った。
僕は以前、この化石に触れたことがある。
そう思うのと同時に、
そのときの周囲の景色が一斉に、一瞬にして湧き出てきた。
白いハンティン帽をかぶる父。
弟と手をつないで歩く、青と白のワンピースを着た母。
高い天井、黒いつやつやとした床。
そんな樹の化石なんか、触れたことはおろか、
観たことすら覚えていなかったのに。
匂いが記憶を呼び覚ます出来事は毎日のようにあるが、
触覚が記憶を喚起したのは初めての経験だった。
(触覚だけでなく、叩いた際の音のはたらきもあったのかもしれません)
記憶の錯覚、捏造という可能性も捨てきれないが、
はじめての経験に、ちょっと胸の奥がうずうずした。

調べてみると、この化石は「大阪市立自然史博物館」が所蔵していました。
大阪の博物館を訪れたことはないと思うので、もしこの記憶が事実なら、
国立科学博物館などの都内の博物館に貸出されていた時に触れたのだろうと思います。
貸出しの事実がなければ、やはり記憶の錯覚、捏造か、
あるいは似たような化石がその役目を果たしてくれたのでしょう。
いずれにしろおもしろい体験でした。
[edit]
この記事に対するコメント
何かかっこいい体験ですね(^O^)私は体験した事ないです。
ふみ #- | URL | 2010/08/26 11:55 * edit *
Re: タイトルなし
こんにちは。
君の体験した、心霊写真事件ほどのインパクトはないですよ(笑)。
KOY #- | URL | 2010/08/27 03:59 * edit *
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