ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
どっしりしっとり
2022/11/21
Mon. 02:36
「愛を読むひと」を観た。
いい映画だった。
後半、「ドクトル・ジバゴ」の小説を読む場面がほんの少しだけある。
「そのラム入りのケーキはジバゴのケーキと呼ばれ・・・」
その、ジバゴ・ケーキが気になって、原文を当たってみた。
"even a cake rather like a baba au rhum known as a zhivago bun・・・"
「ババ・オ・ラム」。
調べてみるとブリオッシュ生地にラムを染み込ませた、サヴァランのようなものらしい。
一般的なブリオッシュは、ぱさぱさしすぎてあまり食指が動かないが、しっとりと何かが染み込んでいるなら話は別である。
そんな折、「ロワール」のブランデー・ケーキをいただいた。

木箱から出すのが大変なほど、 どっしり。 しっとり。 としている。
重量の半分はブランデーではないかと思える。

味は絶品だった(何か美味しいものに出会うと「絶品」という言葉しか出ない貧困な表現力)。
生地に含まれるバターと卵黄とブランデーと空気の比率が素晴らしい。
半日で無くなった。
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グリルドパンプキン
2022/10/31
Mon. 02:57
世の中はハロウィンらしい。

かぼちゃは食べた。グリルで。
昨日も食べたし、明日も食べる。グリルで。
平均して、週に1/4個は消費している。ハロウィン関係なく。
水っぽかったり、味の薄かったりする時季や産地も関係なく。
私は食べる。
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大根のイコン
2022/10/11
Tue. 06:15
大根を一本まるまるすりおろして、半分をきちんとラップして冷蔵庫の野菜室に入れたのだが、もう冷蔵庫すべてが大根くさい。
大根のイコンが冷蔵室の壁という壁に貼ってあるかのように大根が視認化できるくらい匂う。
メインの冷蔵室が野菜室の上にあるのがよくない。かといって被害が甚大になるのでメイン室に入れるわけにもいかない。
もっと厳重にラップしなおそうか、と思うものの、めんどくさいのでそんなことはしない。
口の開いた牛乳が無いからいいやと思っている。おそらく口の開いた牛乳があってもそのままだ。
考えてみたら、現状、メイン室にある物に直接被害があるわけではなくて、被害に遭うのは開けるたびに大根の匂い分子を受ける私だけなのだ。
こういった、ポイントがわずかにずれる認識はいたるところにある。

傘の開ききったブラウンマッシュルーム大詰めが安かったので、日持ちがするように体積が10分の1になるほどのディープなバターソテーにした。もう見た目は乾燥椎茸。
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脳内ランチ戦争
2022/08/15
Mon. 04:13
最近とても気になっている作家の絵を観に行く。
せっかくだから画廊の最寄駅でランチを、と思ってお店を探し、メニューを軽く下調べしてから出かけた。
小鉢が充実している和定食にしよう。新生姜のパフェも気になる。

お店がちょうど見えた頃、待っていた女性二人がスタッフに案内されて入っていった。
ランチの時間帯を大幅に外したつもりだったのに満席なのか、と項垂れて店先まで歩いた。
ガラス張りの路面店。
私が立っている道路側は燦々と陽の光が降り注ぎ、店内は薄暗い。
こちらから中はあまり見えないが、向こうにはこちらが丸分かりの状態だ。
全員女性客のように見える。それも一人で来ているような人はいない。
みんなこっちを見ている気がする。
「なに、あのおっさん一人で入って来るのかしら」
「やだ、あのおっさん汗臭そう、隣に来ませんように」
とみんな言っている気がする。
ものすごい圧力だ。これは無理だ。入ったら死ぬ。ここにいても死ぬ。
何も通知など来てはいなかったが、iPhoneを見る風を装い、店から離れた。
教訓。
デザート系が充実している店は、ランチの時間を外したらもうアウト。
スイーツ女子に囲まれて、おっさん一人でランチなどできるはずもない。
あ、便宜上、おっさんと書いたけれども。
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