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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

 

2010/05/28
Fri. 01:23

学生のころからの親友Mから電話があった。
「実はさっきNと偶然会ってさー・・・、」
いつもよりかなり高いMの声には、懐かしさと嬉しさがたっぷり含まれていた。
NというのはMの学生時代の彼女で、卒業をする少し前に別れ、それ以降顔を合わせることはなかった。
「この話題を共有できるのはお前しかいなくてさ・・・、もう、いてもたってもいられなくて電話した」
嬉しくなると目尻にたくさんの細かい皺がよる、電話の向こうのMの顔を想像して、僕もつい笑ってしまう。
「こどもを二人連れていたよ。二人ともかわいい女の子だった・・・」
同じように二児の父であるMは、そこだけ少しゆっくりと言った。
「会えてよかったな」と僕は言う。
「ああ」とMはこたえる。
「またどこかで会えるといいな」と僕は言う。
「そうだな」
Mの声は、ずっと抱えていた何かをやっと降ろせたかのように僕の耳に響いた。

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2010-05