ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
海の美しい街
2013/11/19
Tue. 00:48
たとえば。
私は旅先の海の美しい街で8個入りのマカロンを買う。
わりと有名なお店で、ちゃんとした箱に入れられ、ちゃんとした紙袋に入れられ渡される。

海沿いをぶらっと散歩していると手もとからマカロンの誘惑の声がきこえる。いま食べて。
わかった。いま食べるよ。
海辺のベンチに座って包装を解く。
目にも鮮やかな色とりどりの8個のマカロン。
海の大きさに比べればマカロン8個なんてちっぽけなもの。ぜんぶ食べちゃえ。
中身を失った箱と紙袋がぽつんと残る。
捨てられない。
ついさっきまでまっさらだった、私に渡ることがなければ大切にされて次の余生を送ることができたかもしれない箱と紙袋。
徒に持って帰るのはかさばるし、いずれ捨てるときが来る。
しかし、デザインとか上質の紙とか仕立ての良さとかそれに関わった人たちの手間のことを思うとすぐには捨てられない。
その手間の分だけ、手元に置いてあげないと。
そんなこんなでまた部屋には物がたまっていく。
たとえばのはなし。
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