ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
特別な折り方をされた手紙
2013/11/20
Wed. 02:09
中学のとき、仲の良いグループ間で授業中に回す手紙があった。
ノートやレポート用紙に書かれた、ローティーンの戯れをそのまま文章にしたような他愛ないその手紙は、特別な折り方をされ、複数のクラスメイトの手を介して僕の元へと届き、また僕の元から発っていった。
手紙の表には、蛍光ペンで宛先の名前が書かれているものもあったし、何も書かれていないものもあった。
宛先無しでもルート上にいる生徒は届け先を熟知していて、最低限の符牒によっていくつもの宛先に正確に届けることができるのだ。
教室の真ん中近くの席の生徒はあらゆるグループの線路変更の分岐器としての役割を担い、またすべての線路が無駄な言葉を発せず、破綻なく整然と機能している様は、まるで統率のとれた軍隊のようだった。

膨大な数のそれらの手紙は、大学を卒業するまで捨てられないでいて、捨てるときも甚大な決断力を要したのだった。
当時の「特別な折り方」をなぜだか解らないけれどふと思い出してのむかしばなしでした。
やってみたら手が覚えていてすんなりできた。
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