ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
箔
2014/01/16
Thu. 04:15
私の記憶の中の父は40歳くらいで時が止まっている。
理由はよく解らない。
・・・
携帯に、父からの着信があったことに気がついた。
また「Macでわからないこと」が起こったのだろうと思った。
私が子どもの頃、不具合のでた家の電化製品をドライバー片手にひょいひょいと直す父の姿があった。
その頃の「機械に強い父」がいまも記憶に残っているので、そんな電話があると、わからないとか言いつつ、照れ屋の父がただ私の無事を確認するために電話をしてきているのではないかと、そんな邪推をすることもあった。
折り返し電話をすると、案の定、「Macでわからないこと」が起こったのだった。
私の無事を確認している気配はすこしもなかった。
工夫して検索すれば対処の仕方は探せるからと思うのだが、父が背中を丸め、キーを何度も確認しながらMacと格闘している姿を想像すると、そう強くは言えない。
けっきょくいつものように私が検索して、父に手順を説明した。
その日の深夜、作品に金箔を使った。
気が急いていたのか、丁寧な扱いを怠ってしまい、箔を一枚だめにしてしまった。
なんとか元に戻そうとしたのだが、触れれば触れるほど改善の見込みはなくなっていった。
そのくしゃくしゃになってしまった箔を見て、なぜだか父を思い出した。
そのとき、私の記憶の中の40歳くらいの父がひといきに時を飛び越して、現在の父の姿と重なった気がした。

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