ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
隣の家族
2016/01/28
Thu. 04:20
隣に住んでいた家族が引っ越した。
しっかりした小学生の兄弟がいて、会う度に元気な声で挨拶をしてくれた。
季節の行事を大切にしている家族だった。クリスマスには窓の格子にLEDが光り、ドアにはリースが飾られた。
七夕になると笹竹が通路の壁に立てかけられた。吊るされたいくつもの短冊には願い事が書かれていて、読む気はないのだけれど、君たち一回菊名神社書道教室に来なさい!と言いたくなるくらいの個性的な文字についつい目がいってしまうのだった。マジックやボールペンで強く書かれたその文字に、毎年の兄弟たちの希望というか欲念というかそんなものが窺えて楽しかったのを思い出す。
引っ越す前の日曜日、マンション裏の道路で、その兄弟が何人かの友達と一緒にキャッチボールをしていた。初めて目にする光景だった。さよならをする友人たちとの別れのキャッチボールだったのだろうなと今になって思う。

兄弟の声の聞こえない隣室はなんだか寂しい。
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