ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
苦労をした檜
2016/02/08
Mon. 02:59
「木」(幸田 文・著)を読んだ。
檜の章が心に残った。
檜は木材としての質と美しさが抜群で、いいことづくめらしい。カンナ屑さえ捨てるのも惜しまれるほどと言う。
檜はまっすぐ上に向かって成長する。
たとえ、幼木や若木のころに大きなアクシデントに遭い、曲がってしまっても、そこからまたまっすぐぐんぐんと垂直に伸びていく。
だが、そのようにして若いころに傾いでしまった木は、いくらそれから先、まっすぐな幹を伸ばそうとも、木材としては使えなくなってしまう。そのまっすぐな部分を挽こうとすると、挽いている最中から反ったり、裂けてしまったりするらしい。
一度若いころにそういう苦労を負った木は、まっすぐ立つのに無理な努力を強いられる。その無理は当然木の内部を変性させる。そしてそれは寿命がくるまでつきまとう。

檜じゃないけれども。
また、檜にはエリートと呼ばれるものがあって、その一本が抜きん出て良いのだが、それだけでなく周囲に何本も質の良いお供の木が、そのエリートを守るかのように揃って立っているらしい。
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