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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

スーパーの花屋のにおい 

2016/07/19
Tue. 05:06



午前2時、突如として生クリームが食べたくなった。
夕食後にあまいものをふたつみつ食べなかったせいだ。
いつもならあきらめて朝までの仕事風なものにとりかかるが、その日は夕餉のカロリーも控えめで、じゅうぶんなブドウ糖が脳に供給されないことを憂えた。
ついでに明日の料理の買い物もしてしまおうと、24時間スーパーに自転車を走らせた。
途中、深夜見回りのパトカーにすれ違うが、ネギを持っていないので大丈夫だった。



R0023623.jpg



スーパーには私の他に5、6人の客がいた。みな一様に暗い顔をしていた。
みずみずしさの失われたみつよつほどの野菜をカゴに放り込み、国産ものではない肉類をカゴにしのばせ、あまいものコーナーへと移る。
まず、いつものヨーグルトをふたつカゴに入れる。
生クリーム風のものを使用した商品で、真っ先に目に入ってきたのがバナナオムレットだった。
これでいいとやさしく手に取り、レジに向かう。

財布を忘れてきたことに気がついたのは、一番上に載せたバナナオムレットがちょうどレジに通されたときだった。
ずいぶん情けない声を上げてしまったようで、レジのご婦人が、どうしたの僕?といった表情で私を見る。
いま嵌った絶望の状況を説明し、詫びながら手ぶらでレジを離れた。
スーパーの一角に構える花屋の花のにおいはいつだっていいな、ただこのにおいを嗅ぎに来ただけだったなと思いながら自動ドアをくぐった。


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