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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

過去の欠片 

2016/10/02
Sun. 05:17



ちょっとした用事があって、21、2歳のころによく歩いていた小路を通った。
地元の人以外あまり通ることのないような裏路地で、昔と変わらぬその小路の空気がもつ色や匂いは、当時の光景の断片を記憶の底からいくつも誘い出した。
一緒に歩く友人たちとの話題、急な夕立に叩かれて踊るいちじくの葉、すれ違う大量のネギを抱えたおばさん、生垣から急に飛び出てきたネコ、ベルト代わりに流行ったバンダナ、踏み潰されていたカスタードクリームの大判焼き、どこからか漏れ聞こえるピアノのパッヘルベル、雪化粧の椿の葉の濃い緑。
無秩序な時間軸のそれらの記憶の小片は、胸の奥の襞をしずかに震わせ、ゆっくりと沁みていった。
とても貴重なものを過去からもらった気がした。



roji.jpg



「ベルト代わりに流行ったバンダナ」で歳がばれるかと思い調べてみたら、多少の浮き沈みはあるものの慢性化しているようです。今年はその「浮き」の年のようですね。


 

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