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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

カルボナーラ玉葱問題 

2016/11/05
Sat. 16:21



隣のテーブルに座った男女が議論をしていた。
議題は「カルボナーラに玉葱は必要か否か」。
男は、必要、と説き、女史は、必要ない、と説く。
玉葱の甘さがソースを台無しにしている。という女史の舌鋒鋭い指摘にも男は怯まない。
なんとかという所で食べた、玉葱入りのカルボナーラが絶品だったということ、ゴロゴロとしたベーコンの脂と玉葱が織りなす深い味わいは筆舌に尽くしがたい。甘みの要素が入るということは、そこだけ見ても味に複雑さと深みが生まれるのだ。というようなことを表現豊かに話す。
いやいや、何を言ってるの。と女史は言う。複雑さは常に正ではない。構成要員に異分子が入った時点でそのプロジェクトの成功は遠い。
ではなぜ世の中に玉葱入りのカルボナーラがあるのか。男は原理的な問いに走る。

・・・・・・そうよね。
しばらく後に女史は呟く。

え、折れるのか!と私は思った。
味覚は人それぞれだものね。その方が多様性があっていいわね。女史は静かに言う。
折れるな頑張れ!と私は思った。私はあなたの意見に賛成なのだ。頼む、頼むから帰ってきてくれ。
しかし、二人は笑いながら多様性に関する別の話題に入っていった。
多様性万歳。私は思った。



IMGP1791.jpg



男が熱く語る絶品のカルボナーラを食べてみたいと思った。味次第では意見を変えたっていい。
レストランの名前を聞き損ねたため、もう一度発せられるのを待ったが、もう出てくることはなかった。


 

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