ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
ぎっくりの大海
2017/01/22
Sun. 06:10
齢五十過ぎの、ぎっくり腰のエキスパートに言わせると、私がぎっくり腰だと思っていたものはどうやら違うらしい。
動けるのはぎっくりではない。そう宣告された。
たしかに日常生活は痛みを感じながらも、無理をしなければフツーに送ることができている。
だがそれは、私がぎっくりの予兆を感じ、類まれなる神経系で、完全ぎっくりになる10のマイナス10乗秒手前で動きを完全停止した結果、そうならずに済んだわけで、フツーの一般人ならぎっくりになっていたはず。言わば、ぎっくりの陥穽の縁に立ち、ぎっくりの昏い底は覗いてきたのだ。そう考えればむしろ、ぎっくりのエキスパートよりも、全体を俯瞰した分ぎっくりを知っているのではないか。
宣告に対し、私がそう言うと、エキスパートは小癪な言葉を紡いだ。
所詮、井の中の蛙だな。ぎっくりの大海を知らぬ。くやしければ井より出で、大海に漕ぎ出でてみよ。さあ、いまならまだ間に合う。
いや、いいです。

動けなくなると食ってけないので。
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