ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
彼の地(2)
2018/04/16
Mon. 02:08
ネットで目星をつけた料理店に電話をかけると、予約がいっぱいとのことだった。
駅前とはいえ、歩く人もまばらで、ときおり雨脚も強くなる。
暖簾を掲げているのはどこかで目にしたことがあるような店だけだった。
これは、と思う店構えのところは、「ぬけがけ週末ランチ不可」という談合があるかのようにことごとく閉まっていたり、準備中だったりした。

駅前の道をあっちに行ったりこっちに行ったりしている間に雨も本降りになってきた。
間断なく、ターミナルから雨に濡れたバスが人気のない大通りに出て行った。
なんてことのない風景だが、知らない土地ではそれらのバスがやたら他人行儀な大型の鱒や鮭などに見え、自分が川底に潜む小さな虫になったように感じた。
このままでは五分の魂すら危うい。とりあえず傘を買って、どこでもいいから入ろう、そう思った。
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