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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

やわらかい鍵 

2021/09/01
Wed. 04:07




すぐ近くの金融機関へ、財布と払込通知書をもって家を出た。
帰ってきてエントランスのドアを開けようと鍵を挿したが回らない。
最近よく遭遇する事態だ。

合鍵は柔らかい。
コピーを作ってからもうだいぶ経っているので、溝が摩耗しているのだろう。
ゴミを出すときに、烏避けのネットボックスの蓋を素手で触りたくないので、指のかわりに鍵を使って開けている。そんなこともあって、僅かな反りや捻れなども生じているのだろう。
いつもは鍵穴に挿したまま、反りや捻れの直しを考慮しながらごちゃごちゃ奮闘すると、多くは1分とかからず開いたし、めんどくさくなりそうな時は、摩耗・反り・捻れに寛容な裏口のドアから入っていた。

だがその日は違った。
今日はこのエントランスが開くまで勝負してやろうと思った。

1/3ほど挿した状態で、ごちゃごちゃの手加減を誤ったとき、鍵がくきっと大きく曲がった。
やってしまった、と思った。
そっと引き抜くと、鍵はまさしく首の皮一枚でつながっているだけで、完璧に折れている。
次に挿したら完全に分断する。

寛容な裏口に回った。
曲がった鍵を鍵穴に差し込むと、途中で完全に分断する手応えがあったが、構わずぐっと押しながら回すとうまく開いた。
鍵を引き抜くと先端が失われている。
折れた鍵先が残ったまま、このままドアを閉めてしまうと他の住人が入れなくなる。
ドアストッパーを置いて、部屋に向かう。

・・・しまった。

首筋に汗が流れる。

・・・部屋に入れない。

うすうす気がついていたことではあるが、鍵が無ければ部屋に入れないのである。
ドアの前に立って初めて、これが最大の問題なのだと理解する。
iPhoneも持ってきていない。
これから仕事にも行かなければならない。
目の前が真っ暗になる。

終わった、と思った。



R0026422.jpg



けっきょく、隣に住んでいる方に事情を話し、ベランダを乗り越えて戻りました。
隣の方がいてよかった。
短時間外出だったので、窓を開けておいたのもよかったです。
窓の鍵まで閉めていたら本当に終わっていました。

鍵が折れて裏口のドアに残っていることを管理会社に連絡したのですが、対応がおそろしく早かった。





 

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# |  | 2022/06/25 00:51 * edit *

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# |  | 2022/06/25 01:04 * edit *

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