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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

ひなまつり 

2011/03/03
Thu. 02:24


昔、仲のよかった女の子の家に、ものすごく古い雛飾りがあった。

一年に一度のこの日を彼女は「虫干しの日」と言った。

人形たちは、現在見るような階段状の雛壇ではなく、
平らな広い台に、物理的上下格差のない状態で座らされていた。

身につけている着物も、派手なものではなかった。
色が褪せてしまっているのか、あるいはもともとそういう地味なものなのかはわからないが、
とても落ち着いた色をした、品のよいものだった。

男雛、女雛をはじめとした、その人形たちの木でできた顔には、
経年によるいくつもの細いワレがはしっていて、
夜に見たら、ちょっとぞっとするような風情があった。

何世代も前から、脈々と受け継がれてきた、その雛飾りには、
外部の、なおかつ男である私には、おいそれとは触れることのできない
すごみがあって、いつも遠くから眺めているだけだった。


IMGP1003.jpg


いま、仲のよかったその女の子は、女の子をもつ母となっている。
あの人形たちはきっと今、一年に一度の「虫干しの日」を迎え、嬉々としているはずだ。

[edit]

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この記事に対するコメント

写真は、近所のお屋敷に飾ってあった雛人形たちです。

KOY #SFo5/nok | URL | 2011/03/04 00:23 * edit *

ワタクシも同じ疑問点が発生しました…、こ・このたくさんの雛人形たちは何?そして伝わる「気」はなんでしょか~(恐)?

タツノオトシゴ #- | URL | 2011/03/04 04:25 * edit *

Re: タイトルなし

近くに、横浜市の指定文化財にもなっているお屋敷があって、よく散歩に行くんです。
江戸時代から昭和にかけて、各家庭に飾られた人形たちらしいです。

私もこの人形たちを見たときはびっくりしました。ちょっとしたホラーですよね。

KOY #- | URL | 2011/03/04 23:44 * edit *

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