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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

時の越境 

2013/05/04
Sat. 01:23



板張りの廊下はきゅうきゅうと鳴いた。
うぐいす張りとは二条城の廊下だけのものなのか、それともこのような日本家屋にもその用語はもちいられるのか、などという、人に話したらめんどくさいと袖にされるようなことを考えながら歩いたその先には和室があって、足を踏み入れると、ところどころが擦り切れ、日ですっかり色褪せたその畳も、きしきしと秋の終わりの虫が鳴くような小さな乾いた音をたてたのだった。
部屋の真ん中に大きな古い卓子があって、その下に、お手玉がぽつんとひとつだけ転がっていた。
遠くでこどもたちの笑い声がした。



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