ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
修行の朝
2013/06/26
Wed. 03:23
昔いたマンションの隣の部屋にW君という男が住んでいた。
彼とは今でも年賀状のやりとりをしていて、いまでは4人のこどもを持つ父となっている。
健康優良児を地でいくW君の朝は早かった。日の出と同時に彼の一日の活動は始まる。
サザンの「真夏の果実」がヒットした夏のことだ。
毎朝6時くらいになるとその曲が大音量で彼の部屋より流れてきた。エアコンを使用しない彼は窓もフルオープン。
そしてきまってサビの部分だけ彼は唄うのだ。「四六時中も好きと言って〜」
「夢の中へ連れて行って〜」その後は歌詞を覚える気がないのか、もごもごはふはふとしたハミングになる。
これが彼の出社時間まで、何度も、何度も、何度も、リピートされる。
まだ寝ていたいのに・・・と思っても彼は容赦しない。ちょっとした修行のようなものである。
すこし冷たい秋の風が吹くまでこの修行は続いたのだった。

いまでもどこかから「真夏の果実」が聴こえてくると、真っ先にW君の顔が頭に思い浮かぶのだ。
サザンが復活というのは素直に嬉しい。
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